女子日本代表:日本 58-85 ベルギー「みんなが良い顔をして気持ちを出してコートに立てていました」林咲希選手
2024年8月4日
決勝トーナメント進出へ向けて後のなくなった女子日本代表は、同じく2連敗中のベルギーとの予選グループフェーズ最終戦で勝つことがまず第一条件です。すでに終了したグループAの中国が、最終戦でプエルトリコに80-58と22点差で勝利したことで大きく得失点差を挽回し、-1。3つに分かれたグループのそれぞれ上位2チームに加え、各3位チームの戦績上位2チームを合わせたベスト8が決勝トーナメントへ進みます。日本の得失点差は-37と引き離されており、ベルギー戦はより多くの点差を開いて勝たなければなりません。しかし、結果は58-85で日本は敗れて3連敗目を喫し、予選敗退が確定。逆に、27点差で勝利したベルギーが得失点差を0に戻し、中国を抜いて試合終了時点で準々決勝進出を決めました。
銀メダリストとなった東京2020オリンピック以降、追われる立場となった日本は「走り勝つシューター軍団」をコンセプトに強化を進めてきました。ラストゲームとなってしまったベルギー戦は37本放った3ポイントシュートを9本しか決められず、24%と精度を欠いたことで苦しい試合となります。外のシュートが来なくても、走って勝ち切るのも日本の武器であり、「トランジションの中で攻めることで自分たちのリズムになり、得点につながる場面を作りたかったですが、相手にシュートを決められたことでそのリズムを作るのも難しかったです」という#8 髙田真希選手。193cmの#11 エマ・ミースマン選手に30点を許し、ペイントエリアから48点を決められ、身長差を突かれました。
世界の高さに対して1.5倍の3ポイントシュート、または激しいディフェンスからボールを奪い、速攻を出してイージーシュートで対抗したかったですが、「良い判断でプレーすることや良いシュートを選ぶところまで導くことができず、選手たちのがんばりに対して勝利に貢献できなかったことを申し訳なく思います」と恩塚亨ヘッドコーチは責任を感じています。
3連敗に終わりましたが、髙田選手は「悔しいですが、この3年間はとても苦しい状況の中でも、本当にみんなでがんばってきました。この結果ですべてが無駄になるわけではありません。この先の人生にとってとても大切な3年間になり、今後に生かすことでそれぞれの財産になっていくと思います」と努力してきた事実は変わりません。キャプテンの#27 林咲希選手も以下のように総括します。
「3年間、東京オリンピック後から本当に厳しい練習をし、積み上げてきた自分たちのバスケスタイルを信じて戦うしかないと思って今大会に臨みました。チーム一丸となって戦うことは3試合ともぶれずにでき、気持ちを切らすこと無くできていました。ただ、シュートを決め切ることができない限りは勝てないです。今日の試合も迷いを払拭しながらプレーでき、みんなが良い顔をして気持ちを出してコートに立てていました。だからこそ、結果として結びつけられなかったのが悔しいです」
チームとして目標に掲げた金メダルには届きませんでした。一方で、2021年に恩塚ヘッドコーチが就任当初に話していた「エネルギッシュにプレーすること、笑顔を見せられること、果敢にチャレンジすること、苦しいときでも力を合わせて良いエネルギーでプレーすること。それを見た方が『私もあのようになりたい』とか、『私もバスケをしたい』ということを届けられるようなプレーを目指そう」というテーマは徹底でき、選手たちは夢を与えられる存在として輝いていました。恩塚ヘッドコーチは選手たちに感謝します。
「この職責を背負うときに、女子バスケ界を少しでも前に進めたいという一念で、毎日毎日全身全霊をかけてできることを探して取り組んできました。選手たちもそれに応えてくれて精一杯努力し、私に足りない部分を選手たちがフォローしてくれながら歩んで来た3年間でした。選手たちのがんばりを一番身近で見てきたからこそ、勝利に対して私が貢献できなかったことを申し訳なく、その責任も感じています。ただ、私の力不足でしかなく、選手たちは本当によく戦ってくれました」
清々しい表情でコートを後にした髙田選手は「目の前のことに対して全力で取り組みながらやり切ることができ、これまでの過程に対する後悔はないです」。林キャプテンが話していたとおり、苦しい中でもチーム一丸となって良い顔をしてプレーし、最後まであきらめずに戦った選手たちの姿に対し、少しでもポジティブな影響を与えられていれば成功ですが、その結果が分かるのはもう少し先の話です。悔しさと課題を持ち帰り、4年後のロサンゼルス2028オリンピックでもう一度金メダルを目指して再始動します。